紛争の内容
ご依頼者様は、学生の頃から趣味でパチンコに興じていましたが、社会人として働き始めてからは、収入が増えて使えるお金が増えたことで、通う頻度や使う金額が増えてしまいました。
そのため、生活費の支出をクレジットカードに頼るようになってしまい、少しずつ負債総額が増えていきました。
収支がマイナスの状況で何年か過ごしたのち、ご依頼者様は現在の奥様とお知り合いになり、交際を経てご結婚されました。
ただ、このときの交際費や結婚式の費用については、貯金が無かったために、キャッシング等の借入金で賄うしかありませんでした。
その後まもなく、待望のお子様が誕生し、奥様は育児に専念するため専業主婦となりました。
これにより、ご依頼者様は、多額の負債を抱えた状態で、さらに家族3人の生活費全ても負担しなければならなくなりました。
ご依頼者様は、奥様に渡す生活費について、現金で渡すことができなかったため、クレジットカードの家族カードを渡し、その支払いはリボ払いとしました。
そのような生活が続いたため、負債総額は約1000万円程度まで膨らんでしまいました。毎月の給料の手取り額(約30万円)から家賃と月々の返済額(約20万円)を差し引くとほとんど手元に残らない状態になってしまい、限界だと感じて、ご依頼者様は弊所にご相談にいらっしゃいました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼者様は、ご相談にいらっしゃる直前まで、奥様に借金の存在を打ち明けることができませんでした。
奥様としては、ご依頼者様の収入が堅調だったこともあり、まさか借金があり家計が全く回っていないとは夢にも思っておられませんでした。
弊所でのご相談後、ご両親も交えた家族会議を経て、奥様も働きに出ることと、けじめのために小規模個人再生手続を行い、決められた返済を行っていくことが方針として決定されました。
共働きになることで出費が増える費目もありましたが、生活費の見直しなども経て、家計の収支は大幅に改善しました。
そのため、再生計画における月々の返済額を支払える見込みが立ちました。
本事例の結末
小規模個人再生手続を申立て、無事に認可決定を得ることができました。
本事例に学ぶこと
ご依頼者様の借金のきっかけはギャンブル(パチンコ)でしたが、負債額を大きくしてしまった原因は、友達や奥様に対して、いわば「見栄を張ってしまった」ことにあると思います。
本来であれば、借金の存在を打ち明けるか、打ち明けないまでも自身の支出入に見合った出費に抑えるべきであったにも関わらず、経済的に余裕がある「フリ」をしてしまったのです。
そして、一度そういった事情を隠してしまうと、なかなか言い出せなくなるというのも多くあることかと思います。
その結果、自身ではどうにもならないレベルにまで、事態が進んでしまうのです。
今回のご依頼者様は、結果として、奥様のご理解やご協力が得られ、家族で経済的な再出発ができることになりましたが、中にはそうはならないケースもあります。
ぜひお早めに、一度、弁護士にご相談ください。
弁護士 木村 綾菜