紛争の内容
裁判所からの依頼を受け、個人の破産管財人に就任しました。

交渉・調停・訴訟等の経過
破産管財人として、破産者と面談したうえ、

⑴  破産手続に至った事情の確認
⑵  財産の確認
⑶  陳述書の確認 ※特に免責不許可事由の確認
⑷  反省文の確認
⑸  転送郵便物の確認
⑹  新たな債権者に対する通知等

を実施し、債権者集会を迎えました。

本事例の結末
免責不許可事由には明らかに該当する事情がありました。
→破産法第252条第1項第4号「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」

 その上で、裁量免責により、免責をしてもよいと思われる事情を検討し、裁判所へ報告しました。
→破産法第252条第2項「裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他いっさいの事情を考慮して、免責を許可することが相当と認めるときは、免責許可の決定をすることができる。 

・破産者の破産手続に向き合う態度については、虚偽を述べるような不誠実さは見受けられず、一定の反省があること

・破産者の破産は今回が人生で初めてであるところ、過去を振り返り、「反省文」を提出し、反省の弁を述べるとともに、債権者に対する謝罪の意を表明しており、反省し、更生する姿勢があること

・現実的な経済的な更生が可能かどうかについては、破産者の勤続先からの収入は安定しており、家計上も黒字を維持し、更生を不可とする事情は見受けられず、経済的な更生は可能と考えられること

・破産者に対する免責に対する反対意見は、少なくとも破産管財人のもとには特段寄せられていないこと

本事例に学ぶこと
嘘をつく、明確な説明をしない、財産や債権者漏れをするなどは、もってのほかです。

破産手続においては、真摯・誠実に対応いただくことに尽きます。

破産を進める場合には、たとえ免責不許可事由があったとしても、必ず実直に向き合ってください。

弁護士 時田 剛志