事案の内容
Aさんは、競馬にのめり込んでしまったことが原因で、それまでの貯金の全額を使い果たしてしまいました。

さらに、その後も借り入れを繰り返しては、今度はオンラインカジノに費やしました。

その結果、毎月の返済が家計を圧迫し、自身の収入のみで完済できる目途が立たなくなったことから、債務整理のご相談にお越しになりました。

競馬・オンラインカジノでの浪費は免責不許可事由に該当する可能性が高く、また、Aさんは過去に1度自己破産をしたことがありました。

Aさんには安定した収入があったことから、本件では、小規模個人再生のご依頼を受けることになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
各債権者の負債額を調査したところ、債権者5社の内、2社が総債務額の半分以上を占めていることが分かりました。

小規模個人再生の場合、総債務額の半分以上の額を有する債権者が再生計画案に対して異議を出した場合、再生計画は認められず認可決定が出ないことから、小規模個人再生の方式を取るか、または債権者決議が不要な給与所得者個人再生の方式のどちらを取るべきか悩みどころでした。

本件では、受任通知発送後も債権者からの問い合わせや意見表明等はなかったため当該債権者が異議を出す可能性は必ずしも高くないと考え、Aさんには大口債権者から異議を出されるリスクも説明して相談の上、そのまま小規模個人再生の方式で申し立てることになりました。

申立てをしたところ、Aさんの借金原因が競馬・オンラインカジノであったことから、個人再生手続が終了した後も再び同じ過ちを繰り返さないか監督する立場として、再生委員が就くことになりました(裁判所による決定)。

本事案の結末
再生委員との面談後、Aさんの毎月の家計を監督しながら手続が進行しました。

その後、総債務額の半分以上の額を有する債権者による異議が出されなかったため、最終的に債務の減額という目的が達成できました。

本事例に学ぶこと
この手続きにおいて特に重要なことは、「計画通りに返済できることを、裁判所や債権者に納得してもらうこと」にあります。

そのためにも、同じ過ちを繰り返さないよう、日々の生活を見つめ直すことが大事です。

今回、Aさんは、毎月の家計簿を作成し、返済額に相当する履行テストをしていくことで、計画通りに返済できることが認められ、無事に認可決定を受けることができました。

借金の返済に苦しんでおられる方は、一度、当事務所までご相談ください。

弁護士 安田 伸一朗