紛争の内容
会社員のAさんは、月額50万円以上の収入がありましたが、転職をした結果収入が激減し、住宅ローンのほか子どもの学費等のために借り入れが増えていってしまいました。
どうしても月額の約定返済額を返せなくなり、やむを得ず弁護士に依頼して個人再生をすることにしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士に依頼したAさんは、個人再生で原則3年間となっている弁済期間にて履行可能性があるものと裁判所に申立てをしましたが、再生委員となった当職から見ると、Aさんの弁済期間中の特別な出費見込みなどを踏まえれば、毎月の弁済予定額と住宅ローンは到底支払いが困難と見られました。
そこで、再生委員としてAさんが今後かかるであろう特別な出費などを見直させ、そのような見込みも含めて総額いくらを、どうやって払っていくことができるかを検討してもらいました。
これを踏まえ、再生委員としては弁済期間を5年とすれば、無理なく毎月の収支余剰から再生計画を立てることができるのではないかということになりました。
本事例の結末
再生委員の意見も踏まえ、Aさんは家計の見直しだけではなく再生計画も当初の申立時と大幅に変更し、提出した再生計画は債権者からの異議もなく、無事認可決定が出され、確定しました。
本事例に学ぶこと
本件は当初申立書に記載した履行可能性の中身や、家計について十分な検討ができていれば、再生委員を就けずに手続が進んだ可能性もありました。
ただ、申立時は再生計画に不安があっても、個人再生委員と協力していくことで、その見込みが改善する可能性もあるのだと感じました。
弁護士 相川 一ゑ