紛争の内容

住宅ローンが約2900万円あり、それ以外の債務が600万円あるというケースでした。

約600万円の負債についてはその20%である約120万円を支払い、住宅ローンについては金融機関との約束通りの返済を行うことを債務者は希望していました。

この件で、裁判所から選任されて個人再生委員に就任し、債務者の返済計画について調査を行い、計画を認可すべきでない事由がないかを調査することになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過

個人再生委員の候補者として指名された後、債務者と面談を行い、収入と支出の金額を確認して、毎月、住宅ローン以外の負債を返済できるだけの貯金3万5000円を作ることができているのかを確認し、貯金を毎月個人再生委員に預けるように伝えたところ、債務者が了承しましたので、その後も貯金ができるであろうという見込みが立ちました。
そのため、個人再生手続を開始して良い旨の意見を裁判所に提出しました。

その後、裁判所が手続きの開始を決定し、正式に個人再生委員に選任されました。

その後、債務者の貯金3万5000円が毎月個人再生委員の口座に入金されているのかをチェックし、債務者の家計簿をチェックして、3万5000円以上の貯金ができているのかを確認しました。

さらに、破産者が提出する返済計画の内容を確認し、ひと月3万5000円以下を返済していく計画であるのかを確認し、毎月の貯金から返済をしていくことができるのかを確認しました。

確認ができましたので、返済計画を不認可とすべき事由が無く、認可するのが相当である旨の意見を提出しました。

本事例の結末

裁判所が返済計画を認可する旨の決定を下しました。

本事例に学ぶこと

個人再生委員は、債務者の家計状況を確認し、債務者の主張する返済計画について履行可能性があるのかをチェックします。
本件においてもこのようなチェックを実践することができました。

弁護士 村本 拓哉