紛争の内容
家族(妻・子)があり、住宅(住宅ローンあり)をお持ちの方が、仕事のストレスからスマホゲームにはまってしまい、多額のインターネット課金を中心とする借金が増えてしまいました。
ご本人なりに家族には黙って借入れなどをしており、家族が気づいたときには、返済できる金額ではなく、債務整理をしなければ住宅を含めすべてを失うという危機感がありました。
スマホゲームは、家族の支えや心療内科の協力もあり、また、ストレスの原因だった職場を辞め、転職することで課金を辞めることができましたが、すでにある借金はどうしようもありません。
そのため、自宅を残し、かつ免責不許可事由からの破産手続の支障が避けられる小規模個人再生の手続を選択し、弊所の弁護士が依頼を受けました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼後、家計簿を毎月欠かさずにつけていただき、また、小規模個人再生における再生計画を立てる必要から月々の返済額を確保できるかを観察しました。
また、必要書類や申立書類、再生計画の立案を実施し、綿密な計画のもと、個人再生を申し立てました。
裁判所からは、再生委員という弁護士が選任され、再生委員の指導を受けながら、順調に手続を進めました。
本事例の結末
再生計画に対し、債権者からの異議が出ることもなく、法律に則った内容で、再生計画が無事認可されました。
これにより、債権額が5分の1程度に圧縮され、それを3年かけて弁済していくこととなりました。
本事例に学ぶこと
借金を少しでも返済したい方、住宅を残したい方、自己破産の免責不許可事由がある方は、小規模個人再生によれば、債務を圧縮して債務整理することができる場合があります。給与などの安定した収入があれば、検討することが可能です。
ただし、住宅を残したい方の中には、住宅ローンがある程度減っており、住宅の価値が大幅に+になってしまうケースもあります。その場合、債務が圧縮されず、手持の資産が基準として、弁済額を決定しなければならないこともあります(これを「清算価値基準」といいます。)。
その辺りの落とし穴も注意しながら、最善の手続を検討して参りましょう。
弁護士 時田 剛志