紛争の内容
会社の代表者が、会社の債務を保証していたため、会社が破産するときに一緒に破産をしました。保証債務以外にも、代表者の方は消費者金融やカード会社に対して負債があり、個人としての負債総額が3000万円を超えていました。

交渉・調停・訴訟等の経過
破産の申立書類の確認と、破産者への聞き取りによって、債権者への返済に充てられるだけの財産が存在しないことを確認しました。また、代表者へ聞き取りをした際に、約1年の間、生活費のために借金をしなければならない状況でありながら、ギャンブルを行い、弁護士に債務整理を依頼した後もギャンブルを行ったという説明がありました。こうした事情は、「浪費又は賭博その他射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させた」という破産法第252条1項4号の免責不許可事由に該当しました。もっとも、破産手続開始後に2か月分の家計簿を提出してもらったところ、十分な収入を得て借金をしないで生活ができる様子が確認できましたので、代表者の経済的な再出発を図るために、免責を許可するのが相当である旨の意見書を裁判所へ提出しました。

本事例の結末
裁判所が債権者への配当を行わずに破産手続を終了する旨の決定を出し、また、代表者の免責を許可する旨の決定を出しました。

本事例に学ぶこと
破産の申し立てをする人に免責不許可事由が存在するということは多くあります。それでも、破産管財人が、免責不許可事由は存在しないので免責を許可するのが相当であるという意見を出してしまう事があり、裁判所は、そのような安易な意見を出さないようにということを注意喚起しています。今回の事例では、破産の申立人への聞き取りを行い、免責不許可事由が存在するか否かの調査を行い、同事由が存在する旨の意見書を提出することを実践することができました。

弁護士 村本 拓哉