紛争の内容
個人再生委員とは、個人再生の手続きにおいて債務者の財産や収入の状況を調査したり、必要な指示を行ったりしながら、最終的に個人再生手続を認可するか否かについても意見する立場の人です。裁判所から選任されます。

今回の債務者は、過去にギャンブルを原因とした負債について破産をしており、また今回の負債の原因もギャンブルにあったことから、今回個人再生手続を選択しましたが、そのような事情がありましたので、債務者の財産や収支の状況等について調査を行うため、裁判所から個人再生委員に選任されました。

交渉・調停・訴訟等の経過
個人再生委員の業務として、債務者との面談を行い、借入れに至ったギャンブルの内容や経緯について詳細に聴き取りを行い、また毎月の家計簿についても確認を行い、適宜指導等を行いました。

本事例の結末
本件では、債務者本人も、今回負債を増やしてしまった原因が、ギャンブルにあり、それを完全に絶たなければならないことは十分に理解しており、そのことを猛省していました。

そのため、債務者において、ギャンブルとの関係を絶つために、ギャンブルに使用した口座等を全て解約するとともに、ギャンブル依存症の治療等も行っていただきました。

その上で、堅実な家計管理に努め、家計簿をつけながらそれを実行していました。

そのような債務者本人の様子から、今回に限り個人再生は認可すべきと判断し、その旨裁判所に意見しました。

その結果、無事債務者の個人再生手続は認可されました。

本事例に学ぶこと
ギャンブルを理由とした借入れで負債を増やしてしまった場合、それ自体が免責不許可事由にあたり、破産手続が選択できない可能性があります。その場合は、今回のように個人再生手続を選択する必要があるかもしれません。

どのような債務整理の手続を選択すべきか、判断に迷われた場合は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

弁護士 小野塚 直毅