ご依頼者様は、破産予定の法人の代表者でしたので、連帯債務を負っていたこともあり、債務整理手続を考えておられました。
ご依頼者様は、住宅ローンの残りのある住宅に住まわれており、その住宅を残したいということで、住宅ローン特則付きの個人再生申立のご依頼をいただきました。
受任時点では、過半数債権者はおりませんでしたので、小規模個人再生を申立てる予定で進めました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼者様は元々、物流関係の派遣のお仕事をされていました。
その後、個人再生申立前、より条件の良いお仕事に転職されました。
この転職については、現在の仕事よりも給与が高くなるということでしたので、今後も勤務継続の見込みがあるということ等を裁判所に報告し、個人再生申立を行いました。
その後、個人再生の手続中に、ご依頼者様は再び転職をされました。
この転職についても、職場では60歳以上で働いている方がいること、特に定年は定められていないこと、職場の方も60歳以上でも働いてもらっていいと言っていること等を個人再生委員・裁判所へ報告し、個人再生が可能であることを主張しました。
本事例の結末
その結果、裁判所も個人再生が可能であると判断してくださり、無事、個人再生計画が認可されました。
本事例に学ぶこと
個人再生は、破産とは異なり、圧縮した債務を返済していく手続です。
そのため、個人再生を行う方について、圧縮した債務を返していけるだけの収入があり、収入が継続する見込みがあることが求められます。
転職を繰り返している方ですと、継続した勤務ができないと判断され、個人再生が認められない可能性があります。
ただ、そのような場合でも、新たな勤務先の条件、新たな勤務先での継続的な勤務が可能である事情を詳細かつ丁寧に裁判所や個人再生員に報告することで、収入の継続性が認められ、個人再生が認められることがあることを学びました。
弁護士 権田 健一郎