紛争の内容
依頼者は会社員として働いていましたが、体調を崩し会社を休むなどして収入が下がったことから、生活費の補填のため借入れを行うようになりました。自宅不動産の住宅ローンも残っており、返済が困難となってきたことから、弁護士に依頼することになりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者は自宅不動産を所有していたため、破産手続にあたっては、不動産の換価(売却)手続のため、破産管財人が選任されると思われました。破産管財人が選任されると、破産管財人の費用(20万円)が別途かかります。
もっとも、破産申立て前に自宅不動産を適正価格で売却できた場合には、破産管財人が選任されない可能性も僅かながらあると考え、申立て前に、不動産業者を通じ任意売却を試みました。
そうしたところ、無事買い手がつき、自宅不動産の任意売却を行うことができました。
本事例の結末
申立て前に任意売却を済ませた場合であっても、破産管財人が選任されることはありますが、本件では、破産管財人が就くことなく、手続を進めることができました。
そのため、本件では破産管財人の費用をかけず、裁判所から免責決定を受けることができました。
本事例に学ぶこと
自宅不動産を所有している場合、破産手続ができない、必ず破産管財人が選任されると思われている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、本事案のように、自宅不動産を任意売却し、破産管財人が就くことなく破産手続を進めることも可能です。
ただし、任意売却は適正に行われることが必要ですので、自らの判断で勝手に売却したりすると、破産管財人が就いてしまいます。売却にあたっては、事前にまず弁護士にご相談ください。
弁護士 小野塚直毅