紛争の内容
会社員のAさんは、10年前に親族が運営する会社に勤めていましたが、その会社の経営状態が悪くなり、収入がなくなったため、生活費などのために借金をしていたところ、破産をすることになりました。
それから転職をしたAさんは、再び生活を立て直そうと5年以上慎ましく生活をしてきました。
ところが、Aさんは以前から抱えていた持病がここ2,3年で急激に悪化してしまい、仕事もできなくなったほか、日々の医療費もかかるようになってしまいました。
丁度子どもも高校の受験期を迎え、借金で進学の費用や日々の生活費を賄っていましたが、再び以前のように働けるようになるころには借金が300万円を超える状態になっていました。
勤務先での就業は、体調が回復してきたことにより今後も安定して続けられるという見込みはありましたが、300万円の借金を抱えながらさらに子どもの大学進学時には費用が出せなくなると感じたAさんは、個人再生の手続を申し立てることにしました。

交渉・調停・訴訟等の経過
Aさんは過去にも破産を経験していましたので、裁判所の手続により借金を整理するのは2度目ということになります。
ただ、幸いにもAさんの勤務先は給与・賞与が安定して払われ、Aさんの病状も落ち着いていたため、再生計画の履行可能性には何ら問題はありませんでした。

本事例の結末
結果として、個人再生委員も就くことなく再生計画の認可が認められました。

本事例に学ぶこと
二度目の破産となれば、その破産の経緯を厳しく見られます。場合によっては、破産管財人が就く場合もあるでしょう。
Aさんの場合、二度目の経済的な危機は、持病の悪化という不運によることも大きかったため、再度の法的措置も裁判所には認められたという部分があります。
再度の多重債務に至った経緯は重要ですが、二度目だから認めらえないということではないので、まずはそのような可能性も含め、弁護士に早めに相談することが重要と感じました。

弁護士 相川 一ゑ