依頼内容
20年程度、精神的な不調に悩まされている、資格があるため就職はするものの長続きせず、無職期間中の生活費や精神的不調からくる買い物衝動等により負債が嵩んでしまった、これまでは夫と協力して何とかやってきたが、夫の負債も大きくなってしまったため、自己破産を考えているとのご相談でした。
ご主人は住宅ローンを抱え、過去に個人再生手続を経験していたため、手続を行うことの利害得失を考慮の上、今回は相談者様のみ自己破産手続を申し立てるという内容で受任しました。
負債状況
400万円弱
資産状況
めぼしい財産なし
方針・事件処理の結果
精神的な不調による無職期間の生活を補填するために債務が増大した点はやむを得ないといえる可能性がありましたが、買い物衝動による負債については浪費的な側面を指摘されても仕方がないと思われました。
他方で、精神的な不調を原因とする債務整理事件については裁判所の方でも相応の配慮を行っているという認識もありましたので、申立てにあたっては破産に至る経過について重点的に説明を行うこととしました。
書類に過不足のないことを確認した上で裁判所に対して自己破産手続の申立てを行ったところ、本人の財産がほぼ存在していなかったことも相まってか、同時廃止手続(破産管財人を付さずに行う手続)で進めるとの判断となりました。
その後、裁判所から免責許可決定を受け、本件の破産手続は無事に終了となりました。
本事例に学ぶこと
昨今では精神的な不調を原因とする債務整理事件も増えています。
通常では破産管財人が選任されるであろうケースについても、精神的な不調への影響を少なくするという配慮からか破産管財人を選任することなく処理されるということがあります。
精神的な不調を原因とするすべてのケースが同時廃止手続となるわけではありませんが、経験上、裁判所側でもそれなりの考慮をしているものと思われます。