事案の概要
3年前に勤務先の事情で職を失い、その間の生活費を借入れで賄っていた、その後、再就職したが前職よりも低い収入となり、生活レベルを落とすことができずに負債が膨らんでいった、借りて返しての生活を繰り返すうちに返済が困難な状態となったため、小規模個人再生手続の申立てをしたという事案でした。
住宅ローンがあり、2人のお子さんの教育費もかかっているという状態でしたので、教育費を賄いつつ、毎月の返済余力を残すことができるかという点が主たる検討事項となりました。

主な業務の内容
開始決定前に申立人と面談を行い、家計収支や将来の教育費をどう工面するか等について確認を行いました。
面談の中で申立人の配偶者はこの手続を利用することについて後ろ向きの考えであり、積極的な協力が期待できないという事情が判明しました。
その影響か家計簿に漏れや誤りが多く存在する状態となっていたため、申立人には可能な限り配偶者の協力を取り付け、家計収支を正確な形で家計簿に反映してほしいと依頼しました。

本事例の結末
その後も家計簿の正確性や提出書類の内容に疑問を感じる部分があり、手続がスケジュール通りに進まないということもありましたが、都度の修正を経て、無事、再生計画案の認可に漕ぎつけました。
蓋を開けてみれば、家計収支自体に大きな問題はなく、過半数債権者が存在する等の事情もなかったため、申立前の準備を万全に行えばもう少しスムーズに終了した事件であったと思います。

本事例に学ぶこと
個人再生手続の申立てを行う際に、申立時の説明資料が不足している、家計簿の記載が正確でない等の理由で裁判所の審査が厳しくなり、手続の進捗が遅れる、個人再生委員が選任されるという等のデメリットが生じる場合があります。
実際はきちんとしているのに外から見たときにきちんとしていないように見えてしまうというのは非常にもったいない状態ですので、申立前の書類調整は慎重に行うようにすることが重要です。

弁護士 吉田竜二