事案の概要
破産から10年以上は収入の範囲内で生活をしていたものの収入の減少からクレジットカードの利用を再開した、次第に利用額が多くなりリボ払いで支払いを先送りしていたが返済が追い付かなくなったため小規模個人再生手続の申立てをしたという事案でした。
申立時の家計の状況では月単位の収支がマイナスとなっていたため履行可能性の有無が主たる問題となりました。
主な業務の内容
開始決定前に申立人と面談を行い、家計収支の見直しを行うよう依頼しました。
次第に月単位での収支がプラスとなり、その状況が維持されるようになりました。
申立人の勤務先では相当程度安定的な賞与の支給もあったため、履行可能性が肯定できる状況となったと判断しました。
本事例の結末
申立人に大きな財産は存在しなかったため、債権額基準の最低弁済額となりました。
月の収支の改善により最低弁済額を3年間で支払うことができる余剰が家計に存在していましたので、債権者からの反対もなく3年弁済の再生計画が認可されました。
本事例に学ぶこと
個人再生手続において、単月の収支で返済分を賄えない場合、直ちに履行可能性が無いと判断されるわけではありませんが、それを補填する賞与等は不安定なものであるという認識は重要です。
単月の収支で返済分を賄うことができ、賞与等の臨時的な収入は不測の事態への備えとして蓄えておくことができるという状況が履行可能性という観点からは理想ということになります。
弁護士 吉田竜二