事案の概要

飲食代で負債が膨らんだため、弁護士に依頼をして個人再生手続申立ての準備を進めていたが、その後、収入が減少し、委任契約を解約されてしまった、生活を立て直し別の弁護士を依頼して個人再生手続申立てに至ったという事案でした。
申立時には債権者から給与差押えを受けていたため、平時の家計状況の把握や履行可能性が問題となりました。

主な業務の内容

申立代理人は申立てと同時に給与差押えの中止を求めていましたので、開始決定後に取消しの申立てを行うよう伝えました。
本人との面談の中で今後の収入の状況を確認したところ、大きな変動は見込まれないとの回答でしたので、そのとおりの家計状況となるか見守ることとしました。
これまでの給与差押分が清算価値に影響を及ぼす可能性がありましたが、結果的には債権額基準の返済額となりました。

本事例の結末

給与差押えの処理をしてもらうのと並行して再生計画案を作成してもらい、突発的な支出の可能性を踏まえ最終的には5年弁済の再生計画が認可されました。

本事例に学ぶこと

個人再生手続は安定的な収入が前提となるため、直近で大きな収入の変動がある場合には履行可能性の判断に影響を及ぼします。
また、申立てまでに時間がかかり債権者から給与の差押えを受けることがありますが、差押えにより債権者が回収した金員について手続上清算価値に加算をして考えることになりますので、手元にお金が残っているわけではないのに支払総額が増えるという事態が生じえます。
債権者から裁判を起こされた場合にはその後の給与差押えを想定して申立てのスケジュールを見直すことが重要となります。

弁護士 吉田竜二