依頼内容

過去に住宅ローン特則付き小規模個人再生手続を行った、住宅ローンを除く返済は終了しているが、その後に借り入れた債務の返済が困難となってきたため、再度、小規模個人再生手続を利用できないか、とのご相談でした。
現在支払っている債務の返済を調整できれば返済の見込みがあると考えられる事案であったため、再度の小規模個人再生事件として受任しました。

負債状況

700万円程度(それ以外に住宅ローン1800万円程度)

資産状況

個人事業主であったため、持続化給付金を含む預金、取引先に対する売掛金

方針・事件処理の結果

過去の小規模個人再生手続について住宅ローン以外の返済は完了していましたが、その再生計画には住宅ローンが含まれているため、今回の小規模個人再生手続の申立ては、法的には、過去の小規模個人再生手続が継続する中で再度の小規模個人再生手続の申立てを行ったものと判断されます。
再度の申立てにおいては、過去の小規模個人再生手続における債権者も手続に参加することができますので、現在の債権者が有する債権のみならず過去の債権者の有する債権を前提に再生計画案を検討する必要があります。
本件では幸いにも過去の債権者の多くが債権届出を行ってこなかったため、主として現在の債権者の有する債権の額を前提とする再生計画案を作成することで済み、無事に再生計画認可決定が出ました。

本事例に学ぶこと

住宅ローン特則付きの個人再生手続における再生計画は住宅ローンの返済が完了するまで終了したことになりません。
そのため、住宅ローンの返済期間中に再度、個人再生手続を利用しようとする場合、再度の個人再生手続の申立てと評価され、過去の債権者の有する債権を含めた返済(過去の手続中に返済を行った分は反映がされます)をしなければならなくなる可能性がありますので、注意が必要です。
再度の個人再生手続は非常に複雑となりますので、そのようなケースでお悩みの方は是非一度弊所までご相談ください。

弁護士 吉田竜二