紛争の内容

競馬に夢中になり、消費者金融から500万円ほどの借入を親の立て替えで完済しましたが、その後、両親には月々分割返済をしていましたところ、家計に余裕を生み出すためにとして、再度競馬などのギャンブルにつぎ込み、800万円以上の負債となった会社員の方の債務整理。

交渉・調停・訴訟などの経過

会社員として現勤務先に5年以上の勤続していること、実家暮らしで、住居費の負担がほぼないことから、再生計画の履行可能性は十分であること、他方、破産の場合の免責不許可事由にあたること、本人も破産を望んでいないことから、個人再生手続きを選択しました。
申立て準備中、そして、弁護士費用の分割支払い中に、債権者から訴訟提起され、判決が言い渡されました。給与差押の危険性があったため、予定より繰り上げての申立て、開始決定となりました。
負債の原因が公営ギャンブルの競馬であること、両親に立替を受け、返済中の債務額の不明朗の問題、勤続5年目であり、月々の手取り月給に加え、堅実家計を実現しつつ、ボーナスの支給もあてにした返済見込みであることから、個人再生委員も選任されました。
開始決定を受け、再生計画案の提出までに至るころに、新型コロナ禍が深刻となりました。
認可決定前に、裁判所より、保険コロナ禍においても、ボーナスは予定通り支給される見込みかという確認がありました。
債務者は、勤務先に、平成19年頃のリーマンショック当時の、ボーナス支給状況を確認したところ、例年とあまり変わらなかったこと、その後も確実に他の従業員にも支給され続けてきたこと、今夏も、今冬も同様と見込まれることを追加報告しました。

本事例の結末

めでたく認可されました。

本事例に学ぶこと

個人再生手続きを利用する給与所得者などの方は、弁護士費用の分割返済額を少なくとも再生計画に基づく月額負担額として、将来の返済計画を予想した返済の事実上の履行テストをしてもらっています。
負債800万円の方ですと、月額負担は45000円弱となりますので、弁護士費用も同額での分割返済、弁護士費用終了後再生委員選任のための予納金の積み立てとしてお預かりしています。
弁護士費用・積立の期間が8カ月から1年以上となりますので、債権者によっては、訴訟提起などの債権回収手段をとり、勤務先からの給与債権を差押えようと、虎視眈々と狙っています。
これに対する対応もある中、本件の事情では、今年の新型コロナウィルスによる収入不安の問題がありました。
本件依頼者には影響は出ませんでしたが、個人再生の利用者の要件である「収入の継続性・安定性」の問題として、今後も予断を許さないようです。