住宅ローンで破産することを回避するためには?弁護士が解説!

こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

コロナによる影響で、住宅ローンの返済ができなくなる家庭が増えているようです。

住宅ローンの返済が出来ない状況に陥ることは「住宅ローン破綻」とも呼ばれますが、住宅ローンは20年から35年という長い期間で返済していくものであるため、家庭状況の変化により、返済が困難となるケースが見受けられます。

住宅ローンが支払えなくなった場合、破産をして自宅を手放すしかないのでしょうか。

結論からいえば、住宅ローン特則による個人再生を行うことで、自宅は残したまま、債務整理をすることが出来る可能性があります。

住宅ローン破綻とは?

住宅ローン破綻とは?

「住宅ローン破綻」とは、経済的な状況の悪化により、住宅ローンの返済ができなくなることを言います。

住宅ローンの支払を滞納すると、期限の利益を喪失し、残債務の一括返済を求められることになります。

しかし、住宅ローンの支払いを滞納している人が一括返済をすることは事実上難しいため、最終的には、金融機関が家を差し押さえ、競売の手続きが進むことになります。

なお、競売の手続きでは、相場より安い金額で売られることが多いため、ほとんどの場合、住宅ローンを完済することができず、残債の支払いを求められることになります。

これを支払うことが出来ない場合には、自己破産を検討せざるを得ないでしょう。

住宅ローン特則の個人再生とは

住宅ローン特則の個人再生とは

もっとも、自己破産を回避する一つの方法として、「住宅ローン特則」を利用した個人再生という道もあります。

「住宅ローン特則」とは、簡単にいうと、住宅ローン債権者への返済を続けることを裁判所に認めてもらうことで、住宅を残すことが出来る一方、住宅ローン以外の債権は、一定額まで減額し、原則、3年間で分割して返済していくという債務整理の方法です。

「住宅ローン特則」を利用するために条件とは?

「住宅ローン特則」を利用するために条件とは?

住宅ローン特則を利用するためには、下記の要件を満たしている必要があります。

・ 住宅購入(リフォームを含む)のための借入であること

まず、住宅ローンとしての借入れである必要があります。

また、再生債務者(個人再生の申立人本人)が所有している住宅であり、かつ、居住用の住宅である必要もあります。

例えば、店舗や別荘、投資用マンションなどは対象外ということになります。

この際、配偶者などと共有している住宅であっても、共有者の中に申立人がいれば、住宅ローン特則を利用することが可能です。

なお、住宅ローン特則の対象となる「住宅資金貸付債権」とは、住宅の建設・購入・改良などに必要な資金を分割払いで借り入れたものであり、抵当権が設定されているものという定義がされています。

したがって、抵当権の設定があることも条件となります。

・ 保証会社等の代位がないこと

「代位弁済」とは、借金を返済できなくなった債務者の代わりに、保証会社が返済を行うことをいいます。

保証会社を付けている場合に住宅ローンを滞納すると、保証会社より「代位弁済通知」が送られてくることになりますので、住宅を残したい場合には、速やかに対応することが必要となります。

なお、仮に代位弁済がされている場合でも、再生計画が認可されれば、6か月以内の代位弁済は「巻き戻し」により、保証会社の代位弁済がなかったこととされます。

・ 住宅ローン以外の他の担保の設定がないこと

住宅について、住宅ローン以外の借入の担保にしていないことも条件となります。

住宅を担保として車のローンなどを借り入れている場合には、住宅ローン特則を利用することが出来ません。

これは、住宅ローン以外の債権者が、抵当権を行使して住宅の競売手続きをとることができるためです。

併せて、共同担保物件に後順位担保権がないことも条件となります。

個人再生など債務整理を検討している場合

個人再生など債務整理を検討している場合

個人再生を検討されており、住宅ローン特則を利用して自宅を残したいと考えられた場合には、まずは一度弁護士に相談に行かれることをお勧めいたします。

弁護士に相談に行くことで、ご自身が住宅ローン特則の要件を満たしているかを判断できますし、そもそもご自身に合った債務整理の方法を検討することもできるかと思います。

まとめ

以上、住宅ローンがある場合の債務整理について、解説していきました。

住宅ローンを返済することができなくなった場合、自己破産をすると自宅を手放さなければならなくなりますが、住宅ローン特則を利用した個人再生の手続きであれば、住宅を残したまま、他の債務を圧縮して返済していくことが可能です。

住宅ローンの支払に困窮した際には、債務整理の方法に詳しい弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

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■この記事を書いた弁護士
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弁護士 渡邉 千晃
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