破産しようと決めたが、借金のあることが配偶者に知られたことをきっかけに夫婦仲が急激に悪化し、その後、離婚することなったケースも少なからずあります。
また、子どもの親権取得を希望していることから、なかなか自己破産手続をすることに躊躇してしまう方もいらっしゃるかと思います。
本ページは、「自己破産をしようと考えつつも、自己破産をした場合子どもの親権を取得することができるのか・・?」などのお悩みの方向けに、自己破産が親権に与える影響等について専門家が解説するページになります。
親権者の決め方にはどのような方法があるのか?
親権者の決め方には主に3つあります。
①父母が話し合いにより親権者を決める「協議」
②「協議」により決まらなかった場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員・家庭調査官らを交えて、親権について話し合い親権者を決める「調停」
③「離婚調停」が不成立になった場合には、「裁判」で親権を争う
親権者の判断基準
裁判所が、親権者として父母のどちらが適切か判断する際の考慮要素として以下のようなものが挙げられます。
1 監護の継続性
これまで一方の親が子どもを監護してきた場合、子どもの養育者を変更することは、子どもへの精神的不安定をもたらす危険性があることを理由に、現実の監護者を優先させるべきとする考え方です。
2 母性の優先
乳幼児については、母親の監護と愛情が重要であるとの理由から、母親の監護を優先させるべきであるとする考え方です。
もっとも、周囲に子どもの世話をサポートしてくれる祖父母などの監護補助者の協力体制の存在や監護能力(経済状況など)といった様々な事情を踏まえて、親権者について判断されますので、母親=親権者となるわけではございません。
3 子どもの意思の尊重
子ども自身が、父母どちらを親権者として希望しているか、その意思を尊重すべきとする考え方です。
一般的に子どもが3歳程度の場合、自分の意思を明確に伝えられる年齢ではないと判断される可能性が高く、仮に父(又は母)に監護してもらいたいという意思を子どもがもっていても、その子どもの意思だけが重視されるとは考えにくい傾向にあります。
なお、不貞など離婚において有責性が認められる場合に、これが親権者としの適格性の判断に影響されるかについて、ここ最近は、有責性があったからといって必ずしも親権が否定されるわけではないと考えられています。
親権取得のための主張のポイントとなる事情
具体的にどのような事情を主張することが重要かについては、裁判例において親権者指定(変更)の判断基準とされる事情がありますので参考にしてみてください。
【父母側の事情】
〇監護に対する意欲と能力
〇健康状態
〇経済的状況
〇居住・教育環境
〇子に対する愛情の程度
〇実家の資産
〇家族・友人等の援助の可能性
〇従来の監護状況
【子の側の事情】
〇年齢・性別
〇兄弟姉妹関係
〇心身の発育状況
〇環境の変化への適応性
〇子の意向
〇父母および親族との結びつきの程度
自己破産は親権に影響するのか?
結論として、自己破産手続をしたからといって、親権者としてふさわしくないと判断されるわけではございません。
破産を決断した背景には、「会社の経営が苦しくなり破産をした」、「ギャンブル」、「投資に失敗した」など様々な事情があるかと思われます。
なかでも、ギャンブルなどの浪費や金銭管理が苦手といった事情は、子どもを十分に監護することができる能力を備えていない、具体的には経済的能力・監護環境をしっかり整えることができていないと、親権取得につきマイナス要素があると考えられます。
まとめ
自己破産をする事情次第では、親権者としてふさわしくないと判断される可能性もありますが、自己破産=親権取得できないわけではございません。
子どもの親権者としてふさわしいかを判断する際の考慮要素は様々であります。
自己破産を検討しつつも、子どもの親権取得も希望しているとお悩みの方は、一度弁護士に相談するのをお勧めします。
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