債務整理に当たって、「身内の債権者だけには迷惑をかけたくない」というご希望について

債務整理のご相談を受ける際、身内の方に借金や未払いの債務がある場合や、保証人・連帯保証人になってもらっているというケースで、「自分は破産をしたいけれども、その身内にだけは迷惑をかけたくない」と希望される方が少なからずおられます。

お気持ちとしては非常によく分かるのですが、仮にその身内の方だけに債務の返済をしてしまったり、その方が保証人・連帯保証人になっている契約についてだけ未払いとせずに返済してしまう、ということは厳に慎んでいただきたいとお願いしています。

これは、「偏頗弁済」という行為であって、破産手続上は「否認権(破産者が破産手続開始決定前にした破産債権者を害すべき行為の効力を失わせること)」の対象となります。

否認権の行使が認められれば、結果として一度は返したはずの主債務が復活し、身内の方にだけ弁済した分を返してもらったり、保証人・連帯保証人であった身内の方に債権者から請求がいくことになり、その身内の方を無用な紛争に巻き込む可能性が出てきてしまいます。

したがって、破産手続をすることについては、身内の方にもきちんと説明をした上で、その身内の方に直接返済義務を負っていたり、保証契約をしてもらっている場合には、その身内の方の権利義務関係について、どのような見通しとなるかをあらかじめ理解をしておいていただくことが必要です。

身内の方に対し、どのような説明をするか等、お悩みの場合には、必ず弁護士に相談いただきたいと思います。弁護士は、ご相談者の方にとってリスクやデメリットなども含め、どのような解決がベストなのかを一緒に考えてまいります。