破産をする場合、自動車はどうなる?

破産を考えているが自動車が使えなくなるのは困るというお話をよく聞きます。
破産をする場合、お手元にあるすべての財産を手放さなければならないわけではないことは以前のコラムで触れましたが、今回は破産手続における自動車の処理についてご説明いたします。

①自動車購入にあたり自動車ローンを利用していない(または自動車ローンを完済している)場合

引き続き使用できる可能性があります。
ただし、自動車の現在価値が高額の場合には換価を求められることやそこまで高額でない場合でもお手元に残しておける財産の枠(総額99万円以下)を圧迫してしまうということがあり得ます。
※さいたま地方裁判所の運用では、普通自動車は初年度登録から6年、軽自動車は初年度登録から4年を経過している場合、なお価値が認められると考えられる自動車を除き価値なしとしています。

②自動車購入にあたり自動車ローンを利用しておりローンが残っている場合

ア 登録名義(軽自動車の場合は占有者)がローン会社の場合
担保権に基づき自動車はローン会社に引き揚げられてしまうため、引き続き使用することはできません。

イ 登録名義(軽自動車の場合は占有者)がローン会社以外の場合
自動車を購入した際の契約内容によって処理が異なり、破産手続との関係で一時的に自動車の引き揚げを拒否することはあり得ますが、いずれかの段階で使用できなくなると考えた方がよいです。
※自動車の引き揚げについては法理論的な問題があり、個々のケースでローン会社の引き揚げ要求に応じるべきかを検討する必要があります。

破産手続における自動車の処理には複雑な面がありますので、ご自身のケースがどうなるか知りたいという場合には一度ご相談いただくことをお勧めいたします。