ローンで買った物の返却には要注意

債務整理を始めると、債務者の方がローン会社から、ローンで買った物を返却するよう求められることが良くあります。
ローンの契約書において、物の所有権はローン会社に残しておき、借金が返済できなくなったら、ローン会社が物の返却を求めることが出来るように定められていることが多いためです。

しかし、債務者の方が個人再生手続の申立てを行う場合は、安易に物を返却しないよう注意することが必要です。

ローン会社は対抗要件と言って、債務者の方に対して所有権を主張するための要件を備えていなければならず、これらの要件は、例えば、時計などの動産であればローン契約書で占有改定の定めがあること、自動車であれば所有権者としての登録を備えていること等になります。

これらの対抗要件を備えていないローン会社に物を返却すると、物の評価額が返済すべき借金の金額に計上されて、借金の返済額が増えるおそれがありますので、非常に注意が必要です。

例えば、時計や自動車の評価額が80万円であるようなケースで、対抗要件に注意しないでこれらの物を返還しますと、元々の借金の返済額に+80万円(評価額分)増額することになって、月額の返済額が1万3333円~2万2222円(36回~60回の返済を想定しています。)増えてしまうことになりますので、よくよく注意をする必要があります。