Aさんは、今から10年以上前に、友人から「事業資金のために必要なんだ」と泣き付かれて、
しぶしぶ友人の連帯保証人になりました。
金額は1,000万円。
銀行ではなく、一般の消費者金融P社からの借入でした。
しかし、その後、その友人の会社は潰れ、当の友人は行方不明となってしまいました。
それでも、Aさんは誰に恨みをぶつけるでもなく、P社に対し、こつこつと毎月9万程の返済を続けてきたのでした。
時は流れて平成22年になり、Aさんは、「1,000万あった債務も今は90万くらいに減っているだろう。
このまま返済していくのも無理ではないが、よく”過払い”とか聞くし、もうゼロになっているのではないか」と考え、
当事務所に来られました。
ところが、P社から送られてきた取引履歴を見てびっくり。
残債務は何と約900万円。
利率も当初より年14.6%で利息制限法の範囲内だったため、引き直し計算をしても債務が減ることはありませんでした。
Aさんは10年以上もこつこつと支払いを続けてきたのに、もともとの金額が1,000万円と大きかったため、
それらはほぼ利息の支払いのみに消えてしまっていたのでした。
Aさんは、お仕事の関係上、破産や個人再生といった裁判所を介する手続きを避けたいという希望があり、
結局、退職金の半分を使って約900万円を一括返済するという形で任意整理を行いました。
「他人の連帯保証人にはなるな」とはよく言われますが、
今回、真面目なAさんが逃げた友人の代わりにP社に払ってきた金額の総額を考えると・・・
やっぱり他人の連帯保証は怖いと思うのでした。