Aさんは、自己破産申立をしました。同時廃止事件といって、管財人がつかずに事件進行が早いほうを希望し、申立をしました。
しかし、元彼女のためにした借金が原因だったため、それを貸付金と評価された場合、回収可能性も問題になるので、管財事件になるかもしれないという問題がありました。
Aさんは、彼女がパチンコにはまっているとは知らず、親の借金の返済や生活費がないと言われて、それを信じて、借金をし、彼女に渡していたのです。貸付という意識はなく、援助のつもりで、渡していましたが、裁判所としては、回収可能性に焦点をあてる可能性がありました。
確かに、Aさんの通帳には、何度か彼女からの返済があったので、Aさんが業者から借りたお金を彼女へ渡しただけということにならず、貸したのではないかと評価されてしまう恐れがありました。
裁判官との審問で、やはり、裁判官は、このことをかなり聞いてきました。Aさんは、震え声で、「お恥ずかしながら、私は女性とおつきあいするのが、初めてで、まさか彼女が嘘をついているとは思わなかったので、彼女を助けたくて援助のつもりでお金を渡していました。」と正直に答えました。
このAさんの正直な素直な言葉で、裁判官も、管財事件にする方針を変えて、同時廃止事件にしてくれました。
審問で、申立人本人の正直な言葉が裁判官の心を打つことがあるということを知った事件でした。