生活保護を受給している場合、保護費から借金の返済はしてはいけません。
といっても、保護費は生活ギリギリの金額なので返したくても返せないと思います。
負債額が少額でも生活保護受給者は破産を選択するのが通常です。
現在、法テラスでは、生活保護受給者は弁護士費用を返済しなくてもよいことになっていますし、利用しやすい制度が整っています。

数年前、当事務所で受任したAさんは、生活保護を受給していました。
Aさんには借金があり、当事務所に破産手続きを依頼しました。
Aさんは、亡くなった母の遺産として不動産の持ち分を3分の1相続していましたが、生活保護を受給するために、半年前に相続した持ち分を父親に贈与していました。

ここで問題になったのは父に贈与した不動産の持ち分でした。

Aさんは生活保護を受給するために不動産を贈与しましたが、Aさんがこのまま破産申立をした場合、贈与をした時期などからも同時廃止(破産者に財産のない場合のかんたんな手続き)手続きではなく、管財人が選任される管財手続きになると思われました。

管財人がAさんの財産調査をし、不動産を贈与したAさんの行為が管財人によって否認(債権者にとって詐害的な行為が行われた場合、管財人は債務者の行為をしなかったことにできます)される可能性が高いというのです。

この場合、管財人が否認して、不動産の持ち分を取り戻したとしても、不動産を売却することができず(父や兄弟には資力がなく、Aさんの持ち分を買うことができないため)、結局管財人はこの不動産を財団から放棄をして破産手続きは終了すると思われました。

しかし、管財事件になる場合、官報公告費用とは別に管財人に引き継ぐ予納金が20万円必要でした。
Aさんは、この20万円の用意がどうしてもできず、結局当事務所での破産手続きを断念し、当事務所は辞任を余儀なくされました。
 
Aさんのお力になることができずに落胆した記憶が今も残っていますが、現在、法テラスでは生活保護受給者の場合、このAさんの用意できなかった管財人の引き継ぎ予納金も援助してくれるようになりました。
これにより、破産申立はスムーズに行うことが可能です。
どんな案件にもお力になりますので、まずは、ご相談にいらしてください。