これまでこのコラムでは何度か、借金の整理には、家族・特に配偶者の協力が必要であることを取り上げてきました。
しかし、多くの方は、実感がわかないかもしれません。
そこで、ある具体例をもとに、借金整理には家族の協力が必要であることをご理解いただければと思います。(実際に取り扱った事例ですが、少し変えてあります。)
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相談者は40代男性。専業主婦の妻と、子供が2人でした。
長男は成人してすでに就職しており、二男は高校生でした。
住宅ローンを抱えていましたが、家族のために、長年運送業でまじめに一生懸命に働いており、月に35~40万円位の収入がありました。家計は、収入の全てを妻に渡し、自分は、お小遣い制だったので、少し増やそうと思いパチンコをするようなりました。 一度、負けてしまうと、自分の生活費がなくなるので、妻に内緒で借り入れをするようになり、借り入れの返済をしようと、また他の業者から借りたり、パチンコで取り戻そうとして、借り入れをするものの、また負けたりして、どんどん債務は膨らんで行きました。
妻には内緒だったので、給料からは返済が出来なかったのです。
数年が経ち、いよいよ返済が追い付かなくなり、弁護士に依頼をして、任意整理をしようとしましたが、結局、弁護士費用も途中で払えなくなり、辞任されてしまいました。返済が追い付かないまま、利息も膨らみ、とうとう債権者から給与の差し押さえを受けてしまいました。もう、このままではダメだと思い、今までの状況を全て妻に打ち明け、妻の協力のもとに個人再生手続きをすることになりました。
大型長距離トラックの運転手だったAさんは、お金はあっても、銀行のATMが使える時間帯に銀行に立ち寄って、送金手続きをすることが難しく、弁護士費用が支払えなかったり、手続きに必要な書類(住民票や不動産登記簿謄本、土地や家屋の評価証明書等)も、準備(用意)することが出来ずに、前の弁護士に辞任されてしまったということでした。
その他にも、再生手続きには、毎月の家計の収支をきちんとつけて、裁判所に提出しなければならないため、実際に家計を預かる妻の協力がなければ、認可決定はおろか、個人再生手続きを申し立てることも出来ない事を、丁寧にお話ししました。
弁護士から、住宅を守り、家族の生活を守るためにも、家族全員の協力が不可欠だと説明を受けたAさんは、ようやく家族の協力をとりつけ、必要な申立て準備を行うことが出来ました。
住宅ローンの他に1000万円程の債務を抱えていたAさんでしたが、再生手続きの中で、約200万円の債務に圧縮することが出来、月約55,000円を3年間返済していく計画で、無事に認可決定をもらうことが出来ました。
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いかがでしたでしょうか。
よく、「家族に内緒で、再生手続きをしたい」と言われることがありますが、特に、個人再生手続きでは、家族全員が、危機意識を持ち、協力して、家計の再生にあたることが必要であり重要であることが、おわかりいただけるのではないかと思います。