紛争の内容
ご相談者様は、かなり昔に消費者金融から借入をし、真面目に返済を続けていましたが、家庭の事情で転居したり返済ができなくなったりして、最終の返済は20年以上前のことだったとのことです。
その後、返済をすることなく、また債権者から督促を受けたり訴訟提起をされたりすることもなく、時が過ぎました。
しかしこの度、債権者から借金を返済してくださいという通知が届きました。
通知によれば、長年弁済しなかったことによって、遅延損害金がかなり膨らんでおり、請求額は借り入れた金額の数倍にもなっていました。
ご相談者様はとても支払える金額ではないということで、弊所にご相談にいらっしゃいました。
交渉・調停・訴訟等の経過
原則として、借金が返済できないのであれば、自己破産などの法的手続を検討する必要があります。
しかしながら、本件の場合、最後に返済をしたのが20年以上も前のことであり、その後の督促や訴訟といった事情も(今回の通知を除いては)無いということでしたので、消滅時効が完成している可能性がありました。
そこで、自己破産を検討する前に、消滅時効の援用をする旨の通知を送ることをアドバイスしました。
ご相談者様は、自身で直接債権者とやりとりをするのは、何かあると困るので不安であると考え、時効援用についてご依頼されました。
本事例の結末
弁護士から、債権者に対して、消滅時効援用の通知を内容証明郵便によって送付しました。
その後債権者に確認したところ、「同通知を受けて社内では時効として処理した、時効更新等の反論は無い」とのお話でした。
そのため、ご依頼者様は、債権者に返済をする必要が無くなりました。
本事例に学ぶこと
本件では、消滅時効の援用により借金の返済を免れ、結果として自己破産を回避することができました。
最後の返済などから、原則として5年間、支払督促や訴訟などもなく経過した場合には、消滅時効が完成している可能性があります。
そういった場合には、借金の返済を促す手紙や電話等がきても、(例え少額でも)支払ったり支払いを約束したりせずに、一度弁護士までご相談ください。
ご事情をお聴き取りし、消滅時効の援用ができそうかどうか、今後どのように進めていけば良いか、アドバイスができるものと思います。
弁護士 木村 綾菜