事案の概要
10年以上前から投資を開始し、原資については借入れで賄っていた、当初は少額の借入れであったが、投資に失敗する→再投資資金を投入するということを繰り返すうちに負債が膨らんでいった、借りては返すということで何とか返済はしていたが、子の進学のタイミングでその返済も困難となった、持ち家があるため小規模個人再生手続の申立てを行ったという事案でした。

財産関係の確認及び履行可能性のチェックを主たる目的として再生委員に選任されました。

主な業務の内容
開始決定前に本人と面談を行い、提出された家計簿の記載内容、今後の収入及び収支の見込み、財産状況等について確認を行いました。

申立時点で不足していた財産関係資料の提出をお願いすることともに、引き続き、家計簿の作成を依頼しました。

提出された財産関係の資料を整理したところ、清算価値に影響を与える事情はなく、その後の家計の状況も履行可能性を肯定できる内容であったため、順次、手続は進み、無事、再生計画の認可に至ることができました。

なお、債権譲渡の前後の債権者がいずれも一覧表に記載されているということが事後的に判明しましたが、それは手続外で処理するという結論で落ち着きました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続を申し立てる場合、自身が把握している債権者をまとめた債権者一覧表というものを裁判所に提出しますが、個人再生手続が開始された以降はその訂正を行うことができなくなります。

裁判所で行う個人再生手続とは独立して債権者が保有する債権を他社に譲渡するということがあり得ますが、その場合は債権譲渡人及び債権譲受人との間で再生計画に基づく返済金の受領をどのように行うか事実上調整するという事態が生じます。

債権者が債権譲渡を行うことは止められませんので、その際は都度対応することになります。

弁護士 吉田 竜二