紛争の内容
【破産管財人】の立場で、破産事件に関与しました。
破産者は、過去に破産歴があり、その後に借入れをしてしばらく放置していたところ、負債が膨れ上がったというものでした。
交渉・調停・訴訟等の経過
破産管財人としては、一見記録を調査して問題となりそうな点を把握し、実際に破産者と面談をして事実関係を確認するとともに、転送郵便物を開披して財産漏れがないかどうかなど調査したうえ、債権者集会において財産目録および収支計算書の説明、破産手続の進行に関する申立、免責に関する調査報告を行い、裁判所のサポートをするものです。
免責についても、二度目の破産ということで慎重に調査をしました。
ポイントとなるのは、破産法第252条第1項第4号「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」に該当するかでした。
債権者は少数、遅延損害金により、元金の6倍に膨れ上がった負債となっている状況でした。
元金自体は、破産者の収入が足りなくなったときの生活費や当時手掛けていたネットショッピングの仕入れに用いられておりました。
このような使途に照らすと、破産者が必要かつ通常の程度を超え、自身の全財産状態に対して不相当な支出をしたものとまでは言えず、「浪費」に該当するとまでは言えないと考えられるものでした。
また、借り入れ後もしばらく返済を継続していたことから、詐欺的な借入と評価することもできず、免責不許可事由に該当するものではないと考えました。
本事例の結末
換価配当すべき財産はなく、問題がなかったため、一回目の債権者集会にて、破産手続は廃止となりました。
管財人として関与してからおおむね3ヶ月後でした。
免責についても問題はなく、今回は免責不許可事由はないものと意見をし、裁判所も同様の認定を行いました。
本事例に学ぶこと
破産手続には、破産者の立場、破産管財人の立場、債権者の立場で、それぞれに弁護士が関与することがあります。
破産管財人は、債権者の視点を持ちながら、破産財団の増殖に努め、問題がないかどうかを厳しい目でチェックする役割も担っております。
破産者の立場では、とにかく絶対に嘘はつかず、過去に向き合い、真摯誠実に対応することが絶対といえます。
弊所の弁護士は、破産管財人の経験があるため、破産者の立場で申し立てる時にどのようなポイントに気を付けるべきか分かりますので、ご相談ください。
弁護士 時田 剛志