紛争の内容

債権者から多数の催促等がきており、一社を除いて支払をしていない70代の男性からのご相談でした。

年金以外に収入はなく、自己破産を希望しておりました。

しかし、よくよく話を聞き、資料を調べますと、多くの債務が時効を迎えていることが判明しました。

そこで、時効援用と任意整理を視野に、依頼を受けることにしました。

交渉・調停・訴訟等の経過

まずは、弁護士から債権者全社に対し、時効援用の通知を送付しました。

9割以上の会社は、時効に応じ、請求をやめる(諦める)ことになり、その段階で負債の多くはなくなりました。

一社だけ、弁済をしていたことがあり、時効は完成しておりませんでした。

そこで、この一社とは協議をして、弁済額を大幅に減らすこととしました。

この一社もなかなか減額に応じず、何度もやりとりをし、現在、病院にも通っており窮状にあることなどを粘り強く伝えました。

本事例の結末

結局、その一社だけで80万円以上あった債務を4分の1程度の返済での精算に応じてもらうことができました。

その代わり、一括返済という形となりました。

その結果、依頼者の負債はなくなり、借金とは縁を切ることができました。

本事例に学ぶこと

通常、任意整理を行っても、今ある負債の元本を減らしてくれる債権者はほとんどありません。

もっとも、事情の特殊性があれば、今回のようなことが可能な場合もあります。しかし、過度な期待は厳禁です。

最近は、「なら破産してください」と言われることさえあります。

将来利息をカットしてもらうだけでも意味はあると思いますが、任意整理は不安定な交渉(債権者が応じなければ合意できない)になります。

そのため、自己破産や個人再生も視野に入れながら、お気軽にご相談いただければと思います。

弁護士 時田 剛志