事案の内容
破産者の方は、新型コロナウイルスの感染流行以前は高い収入を得ていたことから、被服費や美容関係にそれなりの支出をしていました。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染流行後は、収入が大きく減ってしまいました。
それにもかかわらず、支出を減らすことができず、負債が増えてしまいました。
最終的に、負債額は200万円を超えました。
管財業務の経過
本件では、上記の支出については浪費行為に該当する可能性がありました。
また、負債が増えたころに、親族への援助をしていることが認められました。
これらは、破産法上の免責不許可事由に該当する可能性があります。
そこで、破産者の方および申立代理人と面談し、これらの行為をおこなった動機や、費やした金額などを聞き取りました。
加えて、通帳の取引履歴等からも調査を行いました。
また、破産者の方には毎月家計簿を提出していただき、毎月の収支がマイナスになっていないか、無駄遣いはなされていないか等を確認しました。
破産者の方は収入の範囲内で生活するよう努めており、家計簿上の問題はありませんでした。
本事例の結末
管財業務での調査の結果、浪費行為について、免責不許可事由に該当するものと判断しました。
もっとも、破産に至った一切の経緯や免責不許可事由の程度、管財人の調査への協力状況、経済的更生の可能性、破産債権者からの意見等の事情を考慮した結果、裁量免責が相当であるという意見を出しました。
最終的には、裁判所も免責許可の決定を出しました。
本事例に学ぶこと
破産者の方は、浪費により負債を増大させてしまったため、免責不許可事由がありました。
もっとも、管財人の業務に協力し、経済的更生の可能性を示すことで、免責が許可された事例でした。
弁護士 赤木 誠治