依頼内容
過去の無職期間の生活費や離婚に伴う二重の住居費負担等により負債が増大した、退職金を返済に充てたが負債が残ってしまった、これまで借りて返してを繰り返してきたが定年後の収入で住宅ローンに加えて従前どおりの返済をすることは難しい状況となった、とのご相談でした。

相談当初は年金収入も多くなかったため、個人再生手続は困難と思われたものの、近く年金収入が増加するということであったため、それを前提に小規模個人再生手続の代理人として受任しました。

負債状況
住宅ローンを除き1000万円程度

資産状況
めぼしい財産なし

方針・事件処理の結果
受任後に年金収入が増加しましたので、それを前提に家計簿をつけていただき、月の収支の確認を行いました。

その結果、再生計画履行期間中について、現在の再雇用の収入状態が継続すれば住宅ローンの支払いを含めた返済が可能と判断されましたので、その他の必要書類を揃え、裁判所に個人再生手続の申立てをしました。

履行可能性の観点から再生委員が選任され、再生委員の関与のもと、個人再生手続を進めていくことになりました。

再生委員からは今後の収入の状況について確認がされましたので、資料を添えて再生計画履行期間中に収入が減少する可能性は低いことを説明しました。

その後、再生手続開始決定、再生計画案提出と手続が進み、再生委員からも再生計画は認可可能であるとの意見が出され、住宅ローン特則付き再生計画が裁判所により認可されました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続を利用するためには、3~5年の再生計画履行期間について安定した返済を行うことができる収支の状態を維持することが要求されます。

本件では相談当初はそのような収支状況にはありませんでしたが、近い将来収入が増加するという見通しのもと手続を進め、結果として再生計画の認可まで漕ぎつけました。

相談時点では個人再生手続の利用は難しいのではないかという事案についても今後の収入状況に変化があるという場合には道筋が開ける可能性があります。

弁護士 吉田 竜二