住宅ローン支払い中の住宅を持っています。小規模個人再生手続や給与所得者など再生手続の申立をする場合、住宅を手放さなければならないのでしょうか。
小規模個人再生手続や給与所得者など再生手続で再生計画を立てても、住宅ローンを担保している担保権(抵当権など)には、再生計画の効力は及びませんから、銀行などの担保権者は、再生計画と関係なしに、担保権を実行して住宅を競売にかけることができるのが原則です(債権を圧縮されることもありません)。
しかしこれでは、せっかく小規模個人再生手続や給与所得者など再生手続で債務を圧縮しても、生活の基盤である住宅を失うことになってしまいます。
そこで、住宅ローンに関する特則は次のように定めています。
① 小規模個人再生手続や給与所得者など再生手続を申し立てる時点で、住宅ローンの支払いをきちんと続けている場合は、裁判所の許可を得て、再生手続開始決定後も住宅ローンの支払いを続けることができる。そして、その後も、当初の約定どおりに住宅ローンを支払っていく。したがって、住宅が競売になることはない。
② 小規模個人再生手続や給与所得者など再生手続を申し立てる時点で、すでに住宅ローンが滞っている場合は、滞っている元利金の額を再生計画の期間内に全額支払う。まだ、弁済期の来ていない住宅ローンについては、当初の約定どおりに支払っていく。したがって、住宅が競売になることはない。
③ 住宅ローンを当初の約定どおりに支払っていくことができないときは、最長10年、債務者が70歳になるまで、住宅ローンの支払い期間を延長することができる。
④ ③の方法でも、住宅ローンを支払っていくことが難しい場合は、③の方法に加え、裁判所が認めた一定期間内に限って、毎月支払う住宅ローンの元金を少なくすることができる。
上記の①~④の方法によって住宅ローンを支払っていくことができ、また、再生計画によって決まった再生債権の支払いをしていくことができる場合は、住宅を手放す必要はないことになります。
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