依頼内容
立ち消えとなった事情資金や転居費用について借入れを行い、その後、投資による資産増加を狙ったが新型コロナ感染拡大の影響で大きな損失を出してしまった、返済の目途が立たないので債務整理を検討しているというご相談でした。

借入原因に浪費的と判断される側面があり、ご依頼者様はリスクを避けたいというご要望でしたので、自己破産手続ではなく個人再生手続の代理人として受任しました。

負債状況
900万円程度(住宅ローンなし)

資産状況
めぼしい財産なし

方針・事件処理の結果
債権者に受任通知を発送の上、個人再生手続申立ての準備を進めました。

財産関係や個人再生手続に至る事情を丁寧に整理し、裁判所に申立てを行ったところ、特段の問題はないという判断であったのか、個人再生委員は選任されませんでした。

その後、月々の家計簿の提出、返済予定額の積立て、再生計画案の立案等を経て、無事、再生計画認可まで漕ぎつけました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続を申し立てた場合のさいたま地方裁判所管内の個人再生委員の選任率は4~6割とされています。

個人再生委員が選任されるのは、収入が不安定で履行可能性に疑問がある、財産が多く清算価値による返済となる可能性がある、住宅の権利関係が入り組んでおり住宅ローン特則の適用に疑問がある、2度目の個人再生手続申立てであるなど、裁判所からみて個人再生手続の進行に問題がある場合となっています。

個人再生委員が選任された場合には申立費用とは別に15万円の予納金が必要となるため、選任の可能性がある場合には予納金の準備について前もって考えておくことが重要となります。

弁護士 吉田竜二