前回は、説明義務や、移動や通信の制限など、各種破産者の方に生じる「自由」の制限についてお話をいたしました。
今回は、破産手続に伴う「資格」の制限について、説明をさせていただきます。
破産法自体には、破産者に生じる資格の制限は規定しておらず、仮に破産をしたとしても、選挙権や被選挙権はそのままですし、破産したことが戸籍や住民票等の公的文書に記載されるわけではありません。
ただし、破産したということは、経済的な信用力という意味において残念ながら一度ゼロにリセットされてしまうということを意味しています。
したがって、社会的な信用性を求められる一定の職業や地位については資格の制限がなされることになります。
公法上の資格制限としては、公証役場(公証センター)で公正証書を作成している公証人、弁護士、税理士、公認会計士、弁理士、国家公安委員といった資格について、破産者の資格喪失が規定されています。
それ以外にも、私法上の資格制限として、成年後見人、保佐人、遺言執行者などの資格があります。
ただし、上記各種資格も、一度破産をすれば一生そのまま、ということではなく、破産者が復権(「免責許可決定の確定」など、破産手続開始決定によって破産者に生じた各種の制限を消滅させ、本来の法的地位を回復すること)を得れば、制限が解消されることになります。
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