自己破産手続きをとるためには「支払不能」であることが必要と決められています。
第15条
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
では、この「支払不能」とはどういう状況のことをいうのでしょうか?
実は、破産法の中に決まりがあります。
第2条11項
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態…をいう。
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態…をいう。
つまり、手持ちの預貯金等が足りず、クレジットカードの引落しができなかったり、借金の支払日に支払えなかったりということが継続的にある、ということが必要になります。
そのため「すでに何か月分か滞納してしまっている」という方は、原則「支払不能」であると言えそうです。
それでは、将来返済ができなくなることが確実に予想されていても、今は滞納なく期限通り支払えている場合は、支払不能にはならず、手持ちのお金がなくなるまで、破産の手続を進めることはできないのでしょうか?
この答えのヒントも、破産法の中にあります。
15条2項
債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
支払停止とは、債務者が今後一般的かつ継続的に債務の支払いをすることができないと考えて、その旨を明示又は黙示的に外部に表示する行為とされています。
例えば、今月は期限通りの支払いができるけど来月以降は支払いができないと考えて、弁護士に債務整理を依頼したとします。
すると、多くの場合、依頼を受けた弁護士は債務者の代理人として「債務整理を開始しました」という通知を各債権者(クレジットカード会社等)に送付します。
これによって、外部に対して債務の支払いが今後一般的継続的にできませんと表示する行為がされたとして、支払停止に当たるとされています。
したがって、現実に手持ちのお金がゼロにならなくても、支払いの目途が立たない状態になったのであれば、支払停止をし、破産手続きをとることができるということになります。