自己破産を検討されている方の中には、自己破産をした場合、今持っている銀行口座はどうなるのか、新しく銀行口座を作ることができるのか不安に思われている方もいるでしょう。
この記事では、自己破産と銀行口座について弁護士がわかりやすく解説します。
1 はじめに
自己破産のご相談のなかで、「自己破産をすると、今ある銀行口座は解約になってしまうのではないか」「新しく銀行に口座を作ることができなくなるのではないか」と誤解をされている方がいらっしゃいます。
結論としては、これらは事実と異なります。
以下では、これらの点について詳しく見ていきましょう。
2 すでに作っている口座について
すでに開設している口座については、自己破産をしたからといって、すべて解約となるわけ
ではありません。現に、自己破産をした方も、今ある口座をそのまま使われている方が多く
いらっしゃいます。
もっとも、現在使用している銀行口座で、その銀行のカードローンも利用している場合(例
えば、A銀行の口座を利用しつつ、A銀行のカードローンで借り入れをしている方)につい
ては、注意が必要です。
この場合、弁護士がA銀行に受任通知を送ると、多くの場合で銀行口座が凍結されます(な
お、口座内に残高が有る場合には借金と相殺されてしまいます。)。この凍結は、数か月後に
は解消されることが多いのですが、その口座が給与の振込先であるような場合には不便に
なります。
また、最近ではネット銀行の口座をお持ちの方も多いですが、この場合も同様に注意が必要です。弁護士に自己破産をご依頼いただく場合、ネット銀行も含めてすべての預金口座について受任通知を送るからです。
3 自己破産後に口座を作ることについて
自己破産後であっても、新たに銀行で口座を作ることは可能です。もっとも、債権者である銀行については新たに口座を作ることは難しい場合がありますし、自己破産をするとブラックリストには載りますので、カードローンを利用することは当分の間できません。
4 銀行口座について注意するべきこと
(1)生活費の引き落としについて
家賃や水道光熱費等の引き落としのかかる預金口座を借入のある銀行の口座にしている場合は注意が必要です。口座が凍結されると口座への入金が自由にできなくなり、これらの引き落としができなくなってしまうおそれがあるからです。
そのような場合には、借り入れをしていない銀行の口座をメイン口座にした方が良いでしょう。弁護士に自己破産を依頼して受任通知が発送されても、そのことによって預金口座を作れなくなるということではありません。
(2)給与の振込口座を変更する
給与の振込口座を持っている銀行が債権者である場合、受任通知を送ると、口座が凍結され、給与が引き出せなくなったり、債務と相殺されてしまったりすることがあります。
相殺された場合、偏波弁済(一部の債権者に対する弁済)として問題視されてしまうリスクもありますので、注意が必要です。
(3)借金の引き落とし口座について
債権者の下に受任通知が到着すれば、通常、借金の引き落としはされなくなります。
もっとも、受任通知の発送から到着まで時間差があり、弁護士に依頼した後も借金の引き落としがされてしまうことがあります。
これは、(2)で述べたように、偏波弁済として問題視されるリスクがありますので、借金の引き落とし口座については、残高をゼロにすることをおすすめします。
5 おわりに
以上のとおり、自己破産をしても銀行口座を利用することはできます。銀行口座は、日常生活に欠かせないものであり、これが全く持てない・使えないとなると困ってしまいますが、以上ご説明したように、自己破産をした場合でも銀行口座を利用することはできますので、ご安心いただければと思います。
もっとも、銀行口座については、注意するべきこともありますので、借金でお困りの際はお早めに弁護士にご相談いただくことが大切です。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
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