裁判所HPでは、全国の裁判所に申し立てられた事件の統計を見ることができます。
これによれば、最新の令和2年10月のさいたま地裁では、自然人の自己破産申立件数が375件、小規模個人再生は53件でした。
ちなみに、全国の去年(令和元年度)の自己破産(自然人)の申立件数は7万3095件、小規模個人再生は1万2764件だったとのことですが、令和2年度についても、おおむね同様の件数(もしくは微減)になるのではないかと思われます。
感染症の流行や緊急事態宣言、これらに伴う劇的な社会の変化にも関わらず、破産や個人再生の件数は劇的に増加している状況ではありません。
その理由としては、公的融資・支援を受けたり、借入れを重ねたりして、厳しい状況に耐え忍んでいる個人・企業が多いのではないかと推測しています。
一方で、破産に至る理由(負債原因)については、日弁連HP(https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/consumer.html)が公開しています。
最新の2017年の調査によれば、負債原因として「生活苦・低所得」「病気・医療費」「失業・転職」「事業資金」が上位にきています。
病気や失業等の予測できない突発的な事象により、家計が成り立たなくなり、借入れを重ねたり、返済が滞ったりすることは、多くの債務整理のご相談者様からお聞きするところです。
しかし、統計上は、「生活苦・低所得」すなわち日々の生活に困って借入れ等をして、結果自己破産に至った方も多いということが分かります(なお、「生活用品の購入」という負債原因の割合も一定数あります。)。
これらのことから、昨今の情勢を受けて失業してしまったという方はもちろん、借入れ等を重ねて耐え忍んでいる方についても、この厳しい期間が長く続けば(あるいは経済状況が好転しなければ)、今後、自己破産等の債務整理を考えなければならなくなるのではないかと危惧されます。
また、昨今の特徴としては、「浪費・遊興費」がかさんだために自己破産や個人再生に至る割合が増加しています。
「浪費・遊興費」というと、一昔前はお酒や高級車・高級品等というイメージでしたが、少し前に裁判官に伺ったところ、最近は携帯電話のアプリへの課金によるものが多くなっているとのことでした。
アプリのゲームへの課金(いわゆるガチャ等)や出会い系アプリでの課金(メッセージのやりとり等)、またはいわゆる投げ銭の機能など、消費者にお金を使わせ、かつ使う感覚を麻痺させる仕組みがたくさんあります。
課金そのものは否定されるものではありませんが、ご自身の家計状況及び価値観と照らし合わせて、うまく付き合っていく必要があると思われます。
弊所では、自己破産・個人再生を考えるお客様のご相談をお受けしております。
インターネットにはたくさんの情報が溢れておりますが、弁護士に相談し、ご自身の状況や見通しを整理することにも意義があると思いますので、是非お気軽にお問合せくださいませ。